Web・IT: 2010年4月アーカイブ

Twitterを校則で禁止?

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校則でTwitterが禁止された高校があるらしい - さまざまなめりっと


まあ、事実なのか事実じゃないのかはわからないですし、なにが原因かもわからないですが、こうした話が出ること自体は不思議に思わないです。
授業に支障が出る等の理由から娯楽を禁止するというのは学校という場ではよくあることでしょう。


ただ、ITの世界は流行の移り変わりがものすごく激しいわけで、こうした個別サービスを禁止するよりも
「授業中の携帯端末の利用禁止」
とか包括的なものにしておけばいいのになとは思います。
そうじゃないと
「モバゲータウン」
「アメーバなう」
「GREE」
「mixi」
って、サービス毎に禁止する必要が出るわけで。
まあ、実際に校則を見ないと「Twitterだけ禁止」「SNSすべて禁止」のどちらかなのかわからないですけれどね。


なんにせよ、学校の先生は大変だなと思います。
たとえば私なんかはmixiがどういうものかとかTwitterがどういうものかとかある程度わかりますが、学校の先生って必ずしもそうじゃないですよね。
人間なんて知らないものを一番恐れるわけで、だからIT系の新サービスに対して過剰に反応したとしてもやむをえないよなと。
生徒を立派な大人として育てるという責任がありますし。


世の中、誰だって「知っていること」と「知らないこと」というのが必ずあるわけで、でも別に知らないことがいけないことではないのですが(法律は別)、ITの場合は知らないことによる影響がどんどん拡大しているよなと感じる今日この頃。

開発関係者の間ではかなり話題になっています、以下の話。


アップル、「iPhone OS 4.0」でFlash排除を強化か:ニュース - CNET Japan


要約すると
「iPhoneOS上で動かすアプリケーションはApple指定の言語で作りなさい」
という規約をAppleが打ち出したという話です。
Flash排除のことばかりが目立って取り上げられているような気がしますが、それだけの話ではありません。


以下のblog記事たちがこの問題について語っています(実際はもっとたくさんありますが抜粋)


結論

先に結論を言ってしまうと、私自身は今回の件については納得行っていません。


  • Appleの純正ツールを使うことによって高品質かつ安定したものを作ることができる。

  • 開発に他社製品を使った場合、その他社がもしもサポートを終了したならどうするのか。


といった考え自体が誤りであるとまでは思いません(現在のIT世界の流れ的にはもっとオープンにするべきだろうとは思いますが)。


自社のプラットフォーム上で動くものの開発言語を規定するなんてことは別にAppleじゃなくてもやっているでしょう(出力言語のみではなく環境まで規定するケースは稀かもしれませんが)。


では、なにが最も納得行かないかというと、そこに至るまでの過程です。

開発者が受けた被害

すでにAppleが指定する言語以外の環境で作られたアプリケーションがAppStore上で配布されています。
つまり、Appleが指定する言語以外の環境で開発をしている開発者がいます。
そして、その開発者は実機でのテストをするため、AppStoreでの配布をするための料金も支払っています。
そういった開発者たちが今後もさらに新製品を開発して配布するためには、開発環境そのものを変更する必要があるわけです。


「FlashでiPhoneアプリが作れるんだ!」
と嬉々としてFlashでのiPhoneアプリ開発をがんばって勉強した人たちだっているでしょう。


せめてもAppleは最初から今回の方向性を打ち出しておくべきだったと強く思います。


以前、AppStoreからグラビア系アプリケーションが大量削除された際も似たような気持ちになりました。


グラビア系アプリを配布しないという考えはまあ理解できます。
ただ、それまで許可していたものを、時間とお金をかけて作られていたものをいきなり一斉排除することは開発側の視点に立つと本当に辛い話です。
その収益を当てにしていた開発会社だって少なからずあるでしょう。

開発業界について

ソフトウェア開発の業界には大きく分けて三つのグループが存在します。


  • プラットフォーム提供者(今回の場合Apple)


  • 開発者


プラットフォーム提供者と開発者は被ることもありますが、今回の場合は別です。


この三つのグループうちのどれが欠けても市場は成り立ちません。
この三つのグループがそれぞれ納得できる関係こそがいい市場を築いていく条件だと考えています。
そんな中で開発者を大事にしないような結果をAppleが導いてしまったことが私は納得できずにいます。

私の気持ち

私自身、iPhoneアプリは仕事でもプライベートでもかなり前から開発しています。
私はグラビアアプリの配布は行っていないですし、開発はXcodeで行っておりFlashCS5への開発にすぐに移ろうという気持ちもなかったので、被害は受けていません。
ただ、開発サイドにいる人間として、今回の件は不満の声を上げるべきかなと思いました。


私の考えに対して


  • Appleがこういった方向に動くだろうことを予想できなかった開発者が悪い。

  • Appleが嫌ならAndroid向けに開発すればいい。

  • Appleが嫌ならもしくは自分で市場を作ればいい。


といった意見があるかもしれません。


私は別にAppleにケンカを売りたいわけではなくて、この開発者が活躍できる魅力的な市場を開発者サイドの人間としてもっと魅力的なものにしたいと願っているだけです。
別にAppleが構築した市場にいるからAppleに文句を言っちゃいけないなんてことはないでしょう。


Appleの方向転換によっていきなり前触れも何もなく開発したものが排除される市場って、恐いです、正直申しまして。


だって、これがたとえばiPhoneアプリではなくてWebサイトだとしましょう。
もしもそのWebサイトがレンタルサーバーに公表禁止されたなら、他のサーバーに移るなり自分でサーバー作るという手がある。
これが映画や音楽といった作品であれば、たとえ映画館やレーベルなりに禁止されたとしても、他の手段で発表の手はある。
どちらも簡単ではないでしょうが、まだ手は考えられます。


iPhoneアプリについては、Appleに閉め出されたなら、もう他の舞台への持っていきようがありません(1から作り直すにしても、iPhone独自の機能を使用していたなら、完全再現できないケースも多々あるでしょう)。
精一杯がんばって作った自分の作品がほぼ完全に闇に葬られてしまうわけです。
もしも作曲が好きな人がいて、自分の作った曲を他の人に聞かせることが完全にできなくなってしまったなら悲しいですよね。
それと同じ悲しさがあります。


また、三つのグループで最も立場的に弱いのが開発者なので開発者こそが意見を強く発言すべきだという考えも持っています。


客が商品を買わなければ市場が成り立たないため、客は強いです。


提供されるプラットフォームに原則その他二つのグループは従うしかないため、プラットフォーム提供者も強いです(これは開発サイドの人間は痛いぐらい実感しているでしょう)。


開発者グループがいなくなればやはり市場が成り立たないため開発者グループだって強いはずなのですが、現実には「開発者グループ」というよりも「開発者個々が多数存在する」状況のため、開発者は弱いかなと思っています。
権力じゃプラットフォームに勝てないし、数じゃ客に勝てないんですよ。
まあ、こう考えるのは私が開発者サイドの人間だからかもしれませんが。


ただ意見するだけでなにかが変わるのかと言われればうまく答えられないんですが、他になにができるのだろう……。


とにかく、プラットフォーム側が客と開発者に感謝し、客がプラットフォームと開発者に感謝し、開発者がプラットフォームと客に感謝する、そんな関係を上手に築いていけるというのが願いです。
きれいごと?
きれいごとを口にすることを忘れたらそこで成長は止まると考えています。
きれいごとを口にしつつ決してきれいじゃない現実を生きていけばいいのかなと。

余談

Appleは客を大切にするために開発者を切り捨てているという意見を目にすることがあります。
まあ、顧客優先主義ということでこういう考え方も正しいのかもしれませんが、本当に客を大切にしているのか? とよく考えます。


AppleはiPhone、iPad上でFlashが動作しないようにしています。
その理由として考えられるのは


  • プラットフォームの安定した動作のためにならない。

  • 今後のHTML5時代に向けてFlashは早く排除されるべき存在である。

  • AppStoreの価値が低下する(FlashでiPhoneアプリと似たようなことができるものを多々作れるため)。


あたりでしょうか。


まあ、肯定的にとらえれば、長期的には客のためになる対応なのかもしれません。
でも、現時点においてはFlashが見られないと閲覧の際に困るサイトはものすごく多いです。
ユーザビリティに配慮していない開発側の責任だとしても、客にとっては誰の責任かどうかなんて別にどうでもいいでしょう。


5年後や10年後はFlashを使ったサイトが激減しているかもしれない。
じゃあ、2年後や3年後はどうかというと、まだかなり残っているのではないでしょうか。


客の中のある程度の割合の人たちはiPhoneやiPadを2年や3年で手放すかもしれない。
その人たちは長期的視野で導かれたメリットを享受できないまま、デメリットだけを与え続けられるのか?


と考えていくと、客のことを大切にしているのかは疑問だったりします。

余談2

私は別にAppleを嫌ってはいませんし、Adobeの味方というわけでもありません。


ブラウザには様々な選択肢があるのにFlashPlayerには選択肢がないわけで、もしもFlashPlayerに問題が発生したならその解決のすべてがAdobeに委ねられている状況は問題だなと思います。


あと、Appleは強いけれど、Adobeだって強い。
Adobe製品が存在しない会社を見たことがない。
iTunesがインストールされていないPCはたくさんあるとしても、FlashPlayerやAdobeReaderがインストールされていないPCはほぼないでしょう。

iPad発売

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ついにアメリカにて発売開始されましたね、AppleのiPadが。


新型携帯端末「iPad」を発売=電子書籍普及に弾み−米アップル


どれぐらい売れるんですかね。
正直、私にはまったく読めないです。


iPhoneを初日に並んで買うような人たちは買うんでしょうが、それ以外に対してどうなのか。


機器的にはこれまでにそれほどコンピュータに馴染みがない人たちにこそ使って楽しんでもらいたいものですね。


「ノートパソコンでいいじゃん」みたいな意見を聞きますが、逆にノートパソコンだと機能過多な人たちも少なからずいるわけで……。


売れるにせよ、売れないにせよ、ここが今後の電子書籍や、スマートフォン市場へ大きく影響する一つのきっかけになるのでしょうね。
iPad自体はスマートフォンではないですが、iPadが売れるってことはAppStoreのアプリがさらに市場を独占し、iPhoneの売れ行きにも大きく関わってくるでしょうから。

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